2026.03.16
アートの島で出会った、「循環」の形

―― 廃棄物処理の歴史が刻まれた、直島の「スラグブッダ」
先日、香川県の直島を訪れました。 「アートの島」として世界的に知られる直島ですが、実は廃棄物管理に携わる私たちにとって、ここは非常に重要な歴史を持つ場所でもあります。
島を歩く中で、私の足を止めた一つの作品がありました。
(写真:スラグブッダ)


『スラグブッダ88』。 その素材は「スラグ」で作られています。このスラグの背景には、日本の廃棄物行政を大きく変えた、ある歴史が刻まれていました。
直島と豊島を繋いだ、14年の浄化プロジェクト
1970年代、隣の豊島で起きた国内最大級の産業廃棄物不法投棄事件。美しい島に膨大なゴミが持ち込まれ、環境が破壊された負の歴史です。
住民の方々の長い闘いの末、2000年に公害調停が成立。その解決策として選ばれたのが、「豊島のゴミを船で運び出し、隣の直島で高度な技術を用いて処理する」という道でした。
直島に建設された処理施設では、運び込まれた廃棄物を1300℃以上の高温で溶融し、無害化する作業が行われました。その過程で副産物として生まれたのが、この仏像の素材である「スラグ」です。2017年にすべての処理が完了するまで、実に14年。負の遺産を技術と意志で資源へと変えてきた歴史が、この島には息づいています。
「正しく管理すること」が未来を守る盾になる
直島の玄関口に掲げられた「環境のまち」という看板。 それは、かつての過ちを二度と繰り返さないという決意の現れでもあります。

私たち株式会社グリーナーが日々提供している廃棄物管理システムやコンサルティングも、目指す先は同じです。 不透明な処理をなくし、誰が・何を・どこへ運んだかをデジタルで正しく管理すること。その一つひとつの積み重ねが、第二の豊島を作らせないための「盾」となり、資源が正しく循環する社会を作ります。
私たちの仕事は、地中美術館が自然を主役にするために自ら地下に潜ったように、社会の表舞台で目立つものではありません。しかし、その「目立たない仕組み」こそが、地域の美しい景観や未来を守る基礎になると信じています。
社会の意識は今、「廃棄」から「資源の循環」へと大きく舵を切っています。 福岡市でも2027年2月からプラスチック資源の分別回収が始まるように、一人ひとりの行動が未来を変える時代です。


廃棄物は、決して終わりではありません。 直島で見たスラグブッダが教えてくれたように、適切な管理と情熱があれば、それは新しい価値へと生まれ変わります。
これからも廃棄物管理の専門企業として、誇りを持ってこの循環の輪を支えてまいります。